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高力ボルト不足問題の原因は?特殊鋼線材や輸入製品の品質を調査

こんにちは。ギボンヌです。

ビルや橋梁などの鉄骨を結び付ける「高力ボルト」(ハイテンションボルト)の不足が深刻化しているそうですね。

なかにはボルトが調達できず建設計画が中止になるケースも出始めたようです。

ボルトの入荷は6カ月待ちといいます。

先日は歯科用パラジウム合金の高騰について書きましたが、金属の不足はそこだけではなさそうです。

なぜ、ボルトが不足しているのでしょう?調べてみることにしました。

高力ボルト(ハイテンションボルト)とは

鉄骨の建築物や橋梁などの建設で鋼材を接合するために用いられるボルトのことで、一般的なボルトに比べ、高い強度と引っ張り力を持っています。

高力ボルトはJIS製品や大臣認可規格で特徴が決められています。

高力ボルトが不足している理由

主にボルトが不足している理由は1つではなく複数のことが重なり合って起こっているようです。

その原因を挙げてみます。

ボルトメーカーの供給が追いつかない

国内ボルトメーカー数社(日鉄住金ボルテン、日本ファスナー、ユニタイトなど)が高力ボルトの生産を担っていますが、毎月の生産能力は合計で1万トン程度で需要に追いついていません。

生産に追いつかないのには理由があります。

ボルトの母材特殊鋼線材の不足

メーカーのボルトの材料の確保が厳しいものになっているようです。

高力ボルトの特殊鋼線材とは

高力ボルトは鉄骨の建築物や橋梁などに使われるので分かるように継続的な振動に耐えられるものでなくてはいけないため、引っ張り強度が重要となります。

腐食にも強度を求められます。

その上で、加工性も重要です。

そのため、高力ボルトの素材は炭素以外にクロムやモリブデンなどの元素を加えて合金化し、特殊な処理を施して必要な強度のために研究し尽くされて誕生した「特殊鋼」を使用しています。

自動車部品の需要

特殊鋼線は自動車部品でも使用されています。

自動車産業も安定して供給が必要ですから、ボルトとしての必要量の確保も簡単ではないのがわかります。

そういえば、最近では自動車が注文しても1ヶ月待ち、2ヶ月待ちという話も聞きましたが、そういった理由があったのでしょうか。

母材の不足が続いているため高力ボルトメーカーの加工設備はフル生産に達していないようです。

リーマンショックの影響

2008年のリーマン・ショックにより、需要が減った時期があり、生産企業の撤退や再編が進み、国内の生産能力は縮小していました。

そもそも、高力ボルト不足の背景には供給の担い手が減少してしまったため、限られているのです。

そこで、現在需要が高まっても、急には対応できる生産能力を取り戻せるわけではないのです。

高力ボルト不足からの抱え込み

特に20年の東京五輪・パラリンピック開催に向けた建設も始まり、ボルトの需要も極限に達しています。

その上、度重なる地震や洪水被害による再建のための優先的に必要な需要も重なっています。

それでも、ボルトの供給は上がりませんから、一部では抱え込みが起こっているようです。

そのため、必要なところに行き渡らない事態になっているのです。

高力ボルトの価格上昇

建設現場の高力ボルトの調達価格は現在1トン29万円前後のようで、昨年春から秋にかけての半年余りで3万円程度上がりし、冬にかけさらに1万円ほど高くなっています。

価格が高騰しても調達できるわけではありません。

生産メーカーの生産能力が追いつかないのですから。

フリマアプリに売られている

現在、高力ボルト不足を逆手にとってフリーマーケットアプリに高値で出品されているという情報がでていましたので、メルカリを見て参りました。

一箱の高力ボルトが10,000円から20,000円で売られていました。

韓国製のボルトはどうなのか

そんな中、韓国製のボルトが輸入されています。

韓国製のボルトメーカーとしては、KPFが有名で、世界各国で採用されています。

KPFの一般高力ボルト(H/T、F10T)はJISを取得しています。

昨年、日本政府の認定を受けた韓国製高力ボルトはの輸入量は毎月500~1000トンになるとの見方もあるそうです。

ボルトの生産技術については日本の技術は高いことが知られていますよね。

それを、安易に海外の製品を輸入するというのはどうなのでしょう?

信頼できるものなのでしょうか?

現在はJIS取得しているから安心なのでしょうけれど…。

韓国製のボルトについて、身近に使用した人がいたので、聞いてみました。

鉄鋼業界を引退した男性によると、

「ボルトを締めた時に、国産のボルトは頭の部分が斜めになってしまうので、これはダメだから返品しろといったことがある。

韓国から買っているから返品できないと言われて、仕方なく本来不要なナットを買って対応したことがある」

とのこと。

頭が斜めになってしまうというのは、強度的にも摩擦による強度的にも、マズイのではないでしょうか。

おわりに

度重なる地震や水害への再建はいち早くしたいものですし、20年の東京五輪・パラリンピック開催にむけての建築も、世界中から多くの人が集まりますから、不備のないものにしていただきたいと願います。

しかしながら、工事遅延国土交通省と経済産業省はボルトメーカーなどにむけ安定供給の要請を出し、建設業界側に余分な発注を抑えるよう求めているものの効果は出ていません。

それは、原因が1つではなく、根深いものであるからだと思われます。

簡単に輸入はできても、技術は切り貼りできるものではありません。

日本も、世界も、身の丈にあった在り方が求められる時代になってきたのかもしれませんね。

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ギボンヌ
こんにちは。兵庫県在住のギボンヌです。 「人生は実験だ!」と思って生きています。 表も裏も上から下から、いろんな角度から覗いてみたいのです。