カラダ

透析治療中止後の症状や余命は?国内の事例と海外事情を調査した

こんにちは。ギボンヌです。

公立福生病院(東京都福生市)で人工透析治療を中止した腎臓病患者の女性が死亡したというニュースがあり、透析治療中止について物議をかもしています。

日本の透析患者数は32.5万人といわれています。

透析治療中止とは、どういうことになるのでしょう。

透析治療を中止してからの余命や、症状、海外の事情を調査しました。

透析治療中止後の症状や余命は?

透析を中止した場合の余命はその人の状態によってかなり差があるようです。

透析治療を開始してからやめる場合と、透析治療自体をしない場合もありますし、食べる量や尿の量によっても差があるので一概にはいえません。

透析治療を長年経過していて、尿も出なくなっている状態で中止するとあまり長く無い可能性は高くなります。

早ければ5日の患者さんもいるようですし、1ヶ月以上の患者さんもいるようです。

2〜3週間くらいであまりの苦しさに「再開してほしい」と訴えて再開するような場合も多いようです。

透析治療を中止した国内の事例

市立秋田総合病院の泌尿器科、透析室
臨床工学室の報告「延命拒否により血液透析を自己中止した1症例の検討」を読むことができました。

このなかには、透析治療中止の意思がかたい男性患者さんが、透析中止を希望してから、緩和ケアの後、永眠されるまでの経過が記されています。

元々、その男性患者さんは透析治療を受け入れられない様子のまま、週3回、2年間の透析治療を受けられていました。

2年経過したある時、透析の自己中止を申し入れました。

病院は説得を試み、妻も説得しますが、意思は固く、透析を再開したくないといいます。

こちらが透析を自己中止してからの経過です。

(Day1)透析終了後、「もう透析はしたくない」との訴えあり。
理由を聞くと「生きていてもしょうがない。ただつらいだけ」との返答。
うつ状態と判断し、精神科頼診を勧めたが、受診せず帰宅した。

(Day3)「体調が悪いので透析に行かない」との電話があり、説得にも応じず来院せず。

(Day4)妻のみ受診。
透析を行わないと命にかかわることを説明し、妻からの説得も依頼。
妻も困惑しており、「本人の意思が固くて説得できるかどうかわからない」との返答。

(Day5)妻のみ受診。
「透析中止の意思は固く、説得できなかった」との返事。

(Day9)「このまま透析を受けないで意識がなくなり搬送された場合は、透析を行うことになる」
と連日電話をかけて、やっと本人が受診。
話し合いを行った結果、透析中止の強固な意思表示を 確認。
事前指定書(以下記す)への署名をしてもらった。
その後、度々自宅へ電話したり、妻に来院してもらうなどして、状態を確認した。
元々尿量が 保たれている方であったため、意識状態はしっかりしており、透析拒否の意思に変化は見られず。

(Day34):呼吸苦を訴え受診。うっ血性心不全、尿毒症の進行を来していた。酸素投与 だけは了承し、緊急入院となった。(入院時採血データ:BNP 2122,WBC 7300,Hb 6.1,BS 97,Na 137,K 7.4,BUN 148,Cr.23.0,Alb 3.3)
連日、透析再開を勧め、心境の変化を確認したが、透析中止の意思は固いままであった。

(Day49)徐々に呼吸状態、意識レベル低下し、永眠された。

市立秋田総合病院 泌尿器科 同 透析室同 臨床工学室より引用

このケースでは、透析中止から49日の余命であったということになります。

上記にある事前指定書の内容はこのようなものでした。

事前指定書

私は現在継続している透析療法を中止した場合、うっ血性心不全や尿毒症をきたし、やがて意識障害や心停止という結果を招くことを主治医より説明を受けました。

そのことを十分理解したうえで、今後透析療法を行わないことを要請します。

○○年○○月○○日
署名◎◎ ◎◎

私は上記署名人の意思を理解し尊重し、その意向に同意します。

上記署名人との続柄 妻
署名◎◎ ◎◎

この男性患者さんの場合はとても意思がかたく、事前指定書にサインをされてからも再開されることはありませんでした。

ですが、「透析治療を受けたくない」という人がいざ透析治療を中止すると、あまりの苦しさに「再開してほしい」という人が多いといいます。

私が透析患者さんの送迎のボランティアをしていた時にも透析治療を拒絶して、受診されない患者さんがいらっしゃいました。

結局、救急車で搬送され、透析を再開されていました。

その後は、「もういややわ〜」と言いながらでも透析を受けるようになられていました。

透析治療中止後の症状は?

うっ血性心不全

うっ血性心不全は透析患者さんの合併症としても注意しなくてはいけないものの1つです。

その症状は、呼吸困難や横になると苦しくなるり座った状態でないといられなくなるということがあります。

心臓といっても全身の回りが不十分になっての全身浮腫ですから呼吸だけが辛いというではありません。

透析治療を受ける患者さんは、体重が最も多くなる中2日の間に最もうっ血性心不全を生じやすくなるのです。

透析患者さんは週末は体重を増やしすぎないように指導されていると思います。

透析治療の中止をすればそれが急激におこるのでかなり苦しいものと予想されます。

尿毒症

尿毒症の主な症状は、老廃物が排出されないことによる「食欲低下」「吐き気」「頭痛」「だるさ」。

水分がたまることによる「むくみ」「動悸・息切れ」「息苦しさ」があります。

ほかにも脈の乱れたり、血圧が高くなることもあります。

尿毒症から心筋梗塞や冠不全により肝性脳症(肝性昏睡)が引き起こされ、意識障害を起こします。

腎臓の働きをとめることにより、腎臓へも、肝臓へも、脳へも、全身に一気に影響が及ぶということになります。

このような症状と、余命を考えると、透析治療を中止する決断は本人も苦しいと思いますが、それを見守る家族も苦しいものであることは間違いないでしょう。

透析治を療中止についての海外事情

アメリカをはじめ諸外国では,患者さんの自己決定を尊重しているようです。

事前指定書による尊厳死が法的に認められ、医師はその決定を尊重しなければならないというガイドラインがあるからです。

アメリカでは「死亡に先行した透析中止」が死亡例の 22.0%。フランスでは 20.4%、スペインでは 25.8%、イギリスでは 38.0% と報告されている。これは純粋な尊厳死のみの割合ではないと推察されるが、それでもかなり多い。

市立秋田総合病院 泌尿器科 同 透析室同 臨床工学室より引用

一方で日本では現在5つの尊厳死が認められています。

・胃ろうの中止

・中心静脈栄養法など点滴の停止

人工透析の中止

・人工呼吸器を外す

・抗がん剤の投与中止

人工透析も尊厳死として認められているのですが、ガイドラインが整備されていないのが現状です。

おわりに

私の母はくも膜下出血の治療過程で腎機能の低下があり、透析を行う必要があるということで、透析治療ができる病院へ転院しました。

ですが、血管が弱りすぎていたことや、血圧が低下しすぎていたこと、体力が落ちすぎていたこともあり、シャントの手術が出来ない状態になっていたために、透析をすることがないまま、永眠しました。

その後、その病院で透析患者さんのボランティアをして、透析治療というものを10年ほど見つめてきました。

10年もいると沢山の患者さんを見送りました。

ですが、70代後半や80歳を超える高齢の方が多いので、透析しながら長生きできるのもみてきています。

あの時、母は透析をできていたほうがよかったのか?透析が出来なくてよかったのか?今となってはなんとも言えません。

すでに本人は意識レベルが低く、透析を認識することも、透析をするかしないかの意思表示すらできない状態でしたので、尊厳死もなにもない状況でした。

ただ、娘としては、死ぬまでの1年はそばにいられたので、よかったですし、あれ以上苦しませなくて良かったのかもしれません。

もしも、私が透析治療が必要となったらどうするか?を考えます。

元気で暮らせるうちは治療を受けると思います。

生きたくなくなるほどであれば、透析治療の中止をもとめるかもしれません。

これはその時になってみなければわからないことかもしれませんね。

ですが、悔いのない生き方をしていこうと、調べながら考えさせられました。

お読みくださりありがとうございます。

ABOUT ME
ギボンヌ
こんにちは。兵庫県在住のギボンヌです。 「人生は実験だ!」と思って生きています。 表も裏も上から下から、いろんな角度から覗いてみたいのです。